あんまり大上段に「そもそも精神科の診断とはー」とかやるのは柄じゃないと思っているので、
これまでできる限り避けてきたのだけれど、
ちょっと今回はそもそも論から入らないといけないかもしれません。
なんでって、その「パーソナリティ障害」というものがわかりにくいから。
境界型パーソナリティー障害BPDの話を始める前に、
まずはパーソナリティ障害という診断類型の話をしましょう。
何をもって「パーソナリティ障害」?
統合失調症やうつ病、躁うつ病といった狭義の精神病とは違い、
どこからが病気でどこからが病気でないのかがわかりにくい。
「これが揃ったらパーソナリティ障害!」とか、
例え一つでも「この特徴があったらこの診断!」とか、
決定的な要素がない。
また、病気が悪くなったらこうなる、といった典型的悪化像もないし、
この薬が効く!こう治療したら良くなる!といった決定的対処法もない。
さっきからないないばっかり書いてますな。
でも、そういうことなんです。
狭義の精神病の様な、正常との明らかな質的断絶がなく、
と言って普通であるとは言えない。
本人がそのことに苦しむか、周囲の関係者がそのことに苦しむこと、
他の診断で説明ができないこと、
そのことが一度きりではなく繰り返されること、
そんな行動パターンの課題を、パーソナリティ障害と呼びます。
Geminiによれば、
「人格障害(パーソナリティ障害)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です」だそうで。
特に対人関係のパターンが本人/周囲に問題を起こすもの、それが境界性パーソナリティー障害、BPDです。
境界型パーソナリティー障害の診断
MSDマニュアル家庭版によれば、
「境界性パーソナリティ障害は、人間関係、自己像、気分、行動の不安定性、そして拒絶されたり、見捨てられたりする可能性に対する過敏性を特徴とします」
MSDマニュアル家庭版 https://x.gd/SF4SF とあります。
具体的な行動で行くと「その1」でChat-GPTさんに書いてもらった以下の例のようになります。
- 気分が急に変わる: 一瞬前まで楽しそうにしていたのに、突然怒り出したり、悲しみや絶望感に陥ったりすることが頻繁にある。
- 親しい人への態度が極端: ある日突然、親しい友人や恋人を「完璧だ」と称賛するかと思えば、翌日には「裏切り者だ」と激しく非難するようなことがある。
- 捨てられることを過剰に恐れる: 友人や恋人が少しでも自分から距離を置こうとすると、電話を何度もかけたり、過度に不安を訴えたりする。
- リスクの高い行動を取る: 急に車をスピードを出して運転したり、アルコールを大量に飲んだり、後先考えずに危険な行動を取ることがある。
- 理由なく感じる強い孤独感: 「自分は誰からも理解されない」「心にぽっかりと穴が空いている」と頻繁に訴える。
- 他人に依存しすぎる: 友人や恋人に対して、常にそばにいてくれなければ不安になるため、相手が予定を変更すると激しく動揺する。
- 過剰に怒りを表す: 小さなことで激怒し、物を投げたり、大声で叫んだり、対人トラブルを頻繁に引き起こす。
これらの行動や態度が頻繁に見られる場合、一般の人が「もしかしてボーダーラインパーソナリティ障害なのでは?」と疑うことがあります。
-----
一般には、「迷惑な人」とか、「かまってちゃん」とか、
そんな風に言われるんだけど、一定の水準を超えてしまった人たち、ということになるのでしょう。
そもそも、なにが“境界”なの?
そもそもこのBPDの“境界“とは、
この類型が精神病と神経症の“境界“と考えられたことから始まりました。
それを“境界例“と呼び、
その行動パターンの病をパーソナリティ障害と呼ぶようになったことから、境界型パーソナリティー障害と類型されるようになりました。
しかしながら、
BPDの人たちの課題は人と人との関係性、対人関係の病であるので、
その“境界“という言葉は「人と人の“境界“」といった意味で使われているように思います。
そもそも論からは正しくないのだけれど、
対人関係の“境界“だと考えることは、
BPDというものを捉えるために悪くない見方だし、
対処法を考えるためにはむしろいいのではないか、とも思ったりします。
ダブルミーニングですね。
ここらで一区切り。
続きます。